ビギナーオーナーのためのサロン計数管理

第24回サロンの経費(人件費)

人件費とは社長やスタッフのお給料又はお給料に関わる費用です。
皆様がご存知のとおり、理美容業にとって人件費とはすべての経費の中で一番大きい費用でもあります。

皆様が熟慮して決定したお給料をしっかり試算表に反映するためにも、人件費の知識をしっかりと持つことが大切です。人件費をきちんと把握することは、給与の見直しや新たな給与制度の導入の時に必ず役立ちます。

1.役員報酬

  1. 代表取締役・取締役の給料で基本的には定額。
  2. 期の途中での変更は、原則認められません。
  3. 決算終了後の定時株主総会または取締役会で金額を決定し、翌期の定時株主総会又は取締役会まで変更できません。
  4. 役員に賞与を支払った場合も「役員報酬」を使用しますが、税金の計算においては費用にならないので注意してください。

(例)3月決算法人の場合

・5/26に株主総会が行われ、それまで「50万円」だった役員報酬を「60万円」に引き上げる場合、以下のように支払われます。

役員報酬 役員報酬 役員報酬(新) 役員報酬(新)
4月 5月 6月 7月
500,000 500,000 600,000 600,000

5/26に株主総会が行われ承認された場合、6月より改定されます。

2.従業員給与

主に社員として継続して雇用するスタッフの給料です。

(仕訳の例) 給与 250,000 / 未払費用 250,000

3.従業員賞与

スタッフの賞与です。

4.雑給与

主に、アルバイト・パートタイマーの給料です。

  1. 基本的には撮影用モデルの給料や着付けの方への給料も含みます。
  2. 受取者の名前・住所をしっかり把握することが重要なので、領収証や支払証明書にサインをもらい、受取者の存在を証明しましょう。

5.法定福利費

  1. 社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)
  2. 労働保険料(雇用保険料・労災保険料)

6.厚生費

  1. スタッフの福利厚生を目的とした費用で、以下のような費用をいいます。

例1)すべてのスタッフの為の健康診断料
例2)社員旅行等の費用(社会常識的金額まで)
例3)スタッフの結婚祝・見舞金・弔慰金など
例4)サロンで着用するユニフォーム代
(店名が付いていて私用では着用できないもの)

厚生費はスタッフのために支払われた費用を指しますが、特定のスタッフのためだったり一般的相場に比べ著しく高額だったりした場合には、そのスタッフへの給料として課税される場合があるので、注意してください。

7.給与明細の見方と注意点

給与をもらう側のスタッフの時は、ただなんとなく明細を受け取っていたという方でも、支給する側のオーナーとなると、支給・控除項目についてきちんと理解しておかなければなりません。
下図の、サンプルと仕訳を元に給与明細のイメージをつかめるようにしましょう。

8.給与から何を差し引くか

給与明細のイメージ
給与明細のイメージ

給料から天引きされるのは「A.税金」・「B.社会保険料」・「C.その他控除」の3種類です。
例えば、25万円をスタッフに給与として支払っている場合のイメージを、サンプルを元に見ていきましょう。

1)給与の支給

仕訳①: 給与 250,000 / 未払費用       250,000

2)税金(所得税・住民税)
所得税は、税務署から郵送されてくる給与所得の源泉徴収税額表を参考に天引きする金額を決定します。

仕訳②: 未払費用 5,200 / 預り金(所得税)    5,200

仕訳③: 未払費用 7,500 / 預り金(住民税)    7,500

3)社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)
健康保険料・厚生年金保険料については、「4月、5月、6月」の給料の額から1年分の保険料が決定されます。
雇用保険料については、月々の給料+交通費に雇用保険料率を乗じて決定されます。

仕訳④: 未払費用 12,883 / 預り金(健康保険料) 12,883

仕訳⑤: 未払費用 23,790 / 預り金(厚生年金)  23,790

仕訳⑥: 未払費用   750 / 法定福利費(※)     750

(法定福利費(雇用保険料)は「雑収入」でも可)

4)その他控除
スタッフが購入した商品売上・旅行積立金・寮費などを指します。なお、旅行積立金等は、スタッフの同意がなければ給料天引きができません。

仕訳⑦: 未払費用  3,000 / 預り金(旅行積立)  3,000

仕訳⑧: 未払費用  1,575 / 商品売上高        1,575

9.給与と通勤費

自宅からサロンの距離 通勤費
  2キロメートル未満 全額給料として計算
  2キロメートル以上   4,200円
10キロメートル以上   7,100円
15キロメートル以上 12,900円
25キロメートル以上 18,700円
35キロメートル以上 24,400円
45キロメートル以上 28,000円
55キロメートル以上 31,600円

通勤費とは、「通勤をするためにかかる交通費」のことを言います。
実費(定期券の金額など)を払っている場合は、従業員給料ではなく旅費交通費として計上します。従って、給料から差し引く源泉所得税の計算には含めません。(=非課税)※ただし、最高15万円

雇用保険や社会保険は通勤費を含めて計算します。

給料が同じ従業員でも雇用保険料や社会保険料に差があるのはこのためです。

なお、マイカー通勤の場合の非課税通勤費の限度額は右の通りです。

10.社会保険料の経理処理

社会保険料は当月分(会社負担分+スタッフ負担分)が翌月末に社会保険事務所等により預金口座から引き落とされます。会社負担分は「法定福利費」を、スタッフの給与天引きにする分は「預り金」として計上します。
月末が土日祝日の場合は翌月初めの引き落としになりますので、未払で「法定福利費」を計上しましょう。

(例)3月分給料を4月10日に支払っているサロンの場合

3月31日の仕訳    給  料  ×××円 / 未払費用 ×××円

(3月分の給料合計額を計上)

4月10日の仕訳   未払費用  ×××円 / 現  金 ×××円

(給料から税金・社会保険料等を天引きした金額を支給)

未払費用  ×××円 / 預 り 金 ×××円

(天引きした社会保険料の金額)

4月30日の仕訳  法定福利費  ×××円 / 普通預金 ×××円


預 り 金 ×××円 / 普通預金 ×××円


(3月分の会社負担分+スタッフ負担分合計額が引落し)


11.労働保険料の経理処理

労働保険料は「労災保険料」と「雇用保険料」の合算額です。
7月10日(金額が大きい場合は10月31日・1月31日の3回)に合計額を各地域の労働局に振り込みます。
科目については「法定福利費」を使用します。又、給料から天引きされる雇用保険料は「法定福利費」、または「雑収入」で処理します。

サロンの計数管理は 税理士法人西川会計 へご相談下さい。

税理士法人 西川会計 プロフィール

サロン経営のプロとしてサロン業界の発展とともに歩んできた、税理士法人西川会計。
事業計画書の作成や開業資金の調達・開業準備のポイントなどサロン経営に 40 年携わってきた実績とノウハウ武器に、サロンの商売繁盛をサポートいたします。

ページの先頭へ