ビギナーオーナーのためのサロン計数管理

第46回確定申告前の棚卸しについて

今年も残すところあとわずかとなってきました。今回は確定申告前の棚卸について確認してみましょう

1. 棚卸で「サロンの財産」を確認

(1)棚卸資産

「棚卸」とは、商品在庫などの「棚卸資産」の実際の数量を確認するサロンにとってとても大切な作業のことを言います。棚卸作業は、「売上に対してかかる費用(=売上原価)がどの位か確定させて、サロンが儲かっているのかどうか」を知る大事な第一歩です。商品はサロンの「財産」です。サロンのバックヤードやディスプレイ棚に置いてある商品を「単なるモノ」と考えず、「現金」と同様に考えて大切に取り扱いましょう。

(2)棚卸はなぜ必要?

実地棚卸(帳簿上でカウントするだけでなく、実際に商品を数えること)を毎月、定期的に行うことは労力も時間もかかりますが、サロンの毎月の利益の状況を正確に把握するには不可欠な作業です。月に一度の棚卸で商品の損傷や人気のない商品の発見もしやすくなります。確定申告時だけではなく、ぜひ毎月継続して実施しましょう。

(3)不良在庫、過剰在庫を出さない為に

不良在庫とは今後売れる見込みがなく、店舗などに残っている在庫のことをいいます。不良在庫となる原因は様々ですが、過剰仕入、流行の変化、型落ち、消費期限切れ、不良品・欠陥品などがあります。不良在庫を抱えると売れる見込みがなくても管理費などが必要になり、その費用が資金繰りを悪化させる原因となります。過剰在庫が不良在庫に繋がります。不良在庫が出ないように在庫管理をしていきましょう。

週、月、季節、キャンペーンごとに予測を立て、使用量や店販品の売上目標を設定し、その都度必要な在庫数を発注しましょう
何年も使っていない在庫がある場合、返品または施術で利用し、放置しないようにしましょう
在庫管理をしやすいように商品や材料を種類別に配置しましょう

2. 棚卸の方法

(1)具体的に、どんなものを棚卸するか?

材料(業務品)・商品(店販用)・貯蔵品(※)について棚卸を行います。

品目 具体的な商品の種類(例)
材料(業務で使うもの) シャンプー・トリートメント・カラー材・パーマ液 等
商品(店販用) シャンプー・トリートメント・スタイリング剤 等
貯蔵品 包装紙などの包装材料、荷造発送用の材料、広告宣伝用の印刷物、見本品 等

※貯蔵品:税法上は「毎月おおよそ一定の数量を、継続的に購入し消費する事務用消耗品、作業用消耗品など」については、「貯蔵品として資産計上する必要はない」とされています。また、少額のものはあえて貯蔵品に振り替える必要はありません。

(2) カウント方法

(例1)1,000ml容器の業務用シャンプー
在庫2本のうち1本使用、期末に1本と半分(500ml)余っている。
→在庫数「1.5本」

(例2)1,000ml容器の業務用シャンプー
在庫5本のうち1本使用、期末に4本と約750ml余っている
→在庫「5本」

(例3)1,000ml容器の業務用シャンプー
在庫5本のうち1本使用、期末に4本と約200ml余っている
→在庫「4本」

3. 棚卸資産の金額

(1)棚卸資産は税込金額?税抜金額?

棚卸資産の金額は税込、税抜どちらで計上すれば良いでしょうか。免税事業者の場合、必ず税込経理方式を適用しなければなりませんので、棚卸資産も税込で計上します。課税事業者が税込経理方式を選択している場合も、棚卸資産を税込で計上します。税抜経理方式を選択している課税事業者の場合、売上など収益に係る取引については必ず税抜経理をしなければなりませんが、棚卸資産に関する取引については継続して適用することを条件として税込経理方式を選択する事が可能です。つまり棚卸資産は税込・税抜どちらでも計上することが認められています。しかし収益、費用、固定資産等もすべて税抜で経理していますので、棚卸資産も税抜で計上するのが一般的です。

(2)棚卸資産に係る消費税は?

2019年10月1日より消費税増税・軽減税率制度が始まりました。これにより棚卸に係る消費税はどのようになるのでしょうか。棚卸資産の評価方法はいくつかありますが、多くのサロンが「最終仕入原価法」を採用しているかと思います。最終仕入原価法は商品在庫をいつ購入したかに関わらず、在庫の種類ごとに最後に購入した時の単価を元に計算します。税率8%の時に購入した商品と10%になって購入した商品が余っていたら、最後に購入した消費税10%で棚卸金額を計算します。サロンの規模等によって適切な棚卸評価法は異なってきますので、ご確認ください。

2019年11月

税理士法人 西川会計 プロフィール

サロン経営のプロとしてサロン業界の発展とともに歩んできた、税理士法人西川会計。
事業計画書の作成や開業資金の調達・開業準備のポイントなどサロン経営に 40 年携わってきた実績とノウハウ武器に、サロンの商売繁盛をサポートいたします。

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