ビギナーオーナーのためのサロン計数管理

第50回数値の変化のチェックポイント

美容業の営業施設数及び美容師が増加していますが、1事業所当たりの美容師の人数は減少していると厚生労働省は発表しています。
このような状況でどのように経営を維持していくのか考えなければなりません。
経営を維持するための売上をアップさせるために、変化してはいけない数値の確認と費用対効果が得られる投資すべき費用を確認していきましょう。

1.変化してはいけない数値とは?

売上をアップさせるために必要でない経費を使っていないか確認してみましょう。

粗利率(売上総利益率)
粗利率は売上総利益(売上―売上原価)÷総売上高で求めます。
粗利率が異常値になっていないか注意しましょう。
美容業における適正な粗利率は約90%です。しかし、店販商品の売上が多いサロンや高級材料を使用するサロンにおいては約85%の場合があります。
粗利率が低い場合は、1年間の間でどのような変化が起きているのか原因を突き止めてみましょう。
粗利率が低い主な原因は、材料の仕入れ単価が高い、材料を必要量以上に使用している等が考えられます。又、陳腐化した材料・商品を廃棄・盗難等で棚卸金額に変動がある場合も低くなる原因のひとつです。
粗利率を上げる努力、すなわち売上原価(使用する材料費等)を下げる努力をすれば、売上アップのために必要な経費をかけることができるようになります。
交際費
サロンの会合やディーラー等の取引先との会食やお客様との会食などが対象になりますが、その費用は有効な経費になっているでしょうか?例えばサロンの会合で経営に有用な情報を得ることができる、ディーラーとの会食で粗利率が改善される等生きた経費になるようにしましょう。又、付き合いだけのものはなるべく参加しないようにしましょう。
会議費
スタッフとのミーティングは情報交換、意思疎通を行う上でとても重要なものになります。しかし、ミーティングを行っている時間も人件費がかかります。営業時間内に会議を行う場合はその時間で得られるスタッフの売上が減少します。営業時間外に行われる会議は売上に影響はしませんが、残業手当を含んだ人件費が発生します。事前準備をしてなるべく時間をかけずに会議を行うようにする、ミーティングの数が多いサロンはミーティング以外の意見・情報交換を行える方法(SNS等)を検討する等効率よく効果が出る方法を考えましょう。
サービス費
施術中にお客様に提供する雑誌や飲み物などが該当します。雑誌についてはあまり読まれないものは購入をやめる、電子書籍に変える等見直してみましょう。
飲み物については、あまり飲まれていない飲み物はないか、もっと安いもので代用できないか等見直してみましょう。
衛生費
店舗を清潔に保つための経費です。洗剤、トイレットペーパー、マット等の消費が異常になっていないか確認し、価格の安いもので代用できるか検討してみましょう。

2.数値が変化しても良い数値とは?

短期間で売上アップに貢献する費用と将来の売上アップ貢献する費用があります。
具体的にはどのような費用が該当するのでしょうか。

1)「短期間で売上アップに貢献するものは?」

広告宣伝費
集客サイトは認知度のアップに貢献し、新規客を獲得し売上の増加が見込まれます。この投資により得られる効果は、まだ固定客が少ないスタイリストの売上アップを目的とするのが良いでしょう。また集客サイトにより来店された方の人数と単価を把握して支払った広告費が過大になっていないか、固定客が増えているのかを必ず確認して見直しをするようにしましょう。
支払った金額を回収できなければ費用対効果が得られる経費ではなくコストになってしまいます。
また、集客サイトにより来店されるお客様はホームページも確認することが多いため、ホームページの更新もこまめに行うようにしましょう。

2)「将来的に売上アップに貢献するものは?」

研修費
売上がアップしているサロンでは従業員に対する研修費を多く使用する傾向があります。オーナーは店内での技術指導だけではなく、スタッフのスキルアップになると思う外部の技術研修やマナー研修などスタッフにどのようになってほしいかを考えて積極的に参加させましょう。
人件費
美容業で一番比率の高い費用ですが、スタッフのやる気アップにつながるような賃金体系にすることで離職率を下げることができます。離職率が高くなりますと臨時的な求人費というコストが発生してしまいますので以下の注意点を踏まえて給与の設定をするようにしましょう。
最低賃金は毎年約3%上昇しています。今後もこの状態は続くと予想されます。最低賃金は諸手当を除く基本給で計算されます。固定残業代を支給しているから残業代の支払いはしていないというサロンが多くあると思いますが、この固定残業代がトラブルになることもありますので気を付けましょう。
固定残業代は「(基本給)÷(営業日数÷1日あたり所定労働時間)×1.25×残業時間」で算出します。固定残業代を支払っていても設定している残業時間を超えた場合は固定残業代とは別に残業代を支給する必要があります。
最近では退職者やスタッフから未払残業代の請求が行われることがあります。未払残業代の請求は2年間遡って請求することができ、その支払いが数百万になることもあります。また離職による求人を行う必要があるため、資金繰りを悪化させる要因になり臨時コストが発生してしまいます。

効果が得られていない費用はただのコストになってしまいます。しっかりと費用対効果が得られているかを確認する必要があります。

2020年3月

税理士法人 西川会計 プロフィール

サロン経営のプロとしてサロン業界の発展とともに歩んできた、税理士法人西川会計。
事業計画書の作成や開業資金の調達・開業準備のポイントなどサロン経営に 40 年携わってきた実績とノウハウ武器に、サロンの商売繁盛をサポートいたします。

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